新法令・通達の解説
- 割賦販売法を改正し、クレジットカードの利用環境を整備
- 平成28.12.9 法律第99号=割賦販売法の一部を改正する法律ほか
近年、クレジットカードを取り扱う販売業者などからのクレジットカード番号等の漏えい事件や不正使用被害が増加しています。
また、カード発行を行なう会社と販売業者と契約を締結する会社が別会社となる形態が増加し、クレジットカードを取り扱う販売業者の管理が行き届かないケースも出てきています。
そうした現状を踏まえ、安全・安心なクレジットカードの利用環境の整備に向けて、割賦販売法の一部が改正されました。
革新的な金融サービス事業を行なうFinTech(フィンテック)企業の決済代行業への参入や、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたインバウンド需要の取込みも見据えています。
改正内容は次のとおりです。
販売業者(加盟店)に対して、クレジットカード番号等の情報管理や、自らの委託先に情報管理に係る指導等を行なうことが義務付けられます。
また、加盟店に対して、クレジットカード端末のIC対応化などによる不正使用対策が義務付けられます。
加盟店に対して、クレジットカード番号等を取り扱うことを認める契約を締結する事業者に登録制度が設けられます。
また、登録事業者は、その契約を締結した加盟店に対する調査および調査結果に基づく必要な措置を行なうこと等も義務付けられます。
(1)決済代行業者も登録制に
加盟店契約会社と同等の位置付けにある決済代行業者(FinTech企業等)にも、加盟店契約会社と同一の登録制度が導入されることになりました。
(2)書面交付義務の緩和
加盟店のカード利用時の書面交付義務について、電磁的方法による情報提供も可能となりました。
特定商取引法の改正により、不当な勧誘があった場合の消費者の取消権等が拡充されたことに合わせ、割賦販売法においても同様の措置が講じられることになりました。
改正割賦販売法の施行日は、公布の日から1年6か月以内で、政令で定められます。
その他の新法令・通達
- 貸切バス事業許可が更新制に
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道路運送法が改正され、貸切バス事業者が安全に事業を遂行する能力があるか否かを5年ごとにチェックする「事業許可の更新制の導入」のほか、不適格者の安易な再参入・処分逃れの防止として欠格期間を現行の2年から5年に延長するなどの措置が講じられます。
施行日は、平成28年12月20日です。 - (平成28.12.9 法律第100号=道路運送法の一部を改正する法律)
- ビッグデータの有効活用
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国・自治体・民間企業が保有するデータを効果的に活用することで、自立的で個性豊かな地域社会の形成、新事業の創出、国際競争力の強化などを目指すとする官民データ活用推進基本法が成立しました。
施行日は、公布の日です。 - (平成28.12.14 法律第103号=官民データ活用推進基本法)
- 建設現場の安全を守る
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建設工事従事者の安全と健康の確保を推進するため、安全衛生経費の確保や一人親方問題への対処を、国や自治体、企業に求める新法が成立しました。
施行日は、公布の日から起算して3か月を経過した日です。 - (平成28.12.16 法律第111号=建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律)
- 自転車活用の推進
- 自動車への過度な依存を軽減し、自転車の交通手段としての役割拡大に向けた施策を、計画的に推進することを定める新法が成立しました。国民の健康の増進や交通混雑の緩和につなげる予定です。施行日は、公布の日から6か月を超えない範囲内で政令で定める日です。
- (平成28.12.16 法律第113号=自転車活用推進法)
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック